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信毎文化事業財団 膨大なデータから、長野県ゆかりの人々や取り組みに光を当てる

信毎文化事業財団 膨大なデータから、長野県ゆかりの人々や取り組みに光を当てる

長野県で暮らしていると、信濃毎日新聞(信毎)の名は新聞紙面に限らず、テレビやラジオ、ネットなどのメディアをはじめ、イベントの主催・共催、セミナー、2018(平成30)年にオープンした「信毎メディアガーデン」(松本市)など、県内各地、さまざまな場面で目にします。
今回は、長野県民の芸術やスポーツなどの文化活動を支援するとともに、文化事業を行い、長野県の文化・社会の発展に寄与することを目的に設立された「公益財団法人信毎文化事業財団」の活動や取り組みについて、事務局長の宮崎静致さんにお話を伺いました。

長野県にゆかりのある人の活躍を広く知らせることが、地域の発展に

信毎文化事業財団は、1995(平成7)年4月、財団法人として設立。2010(平成22)年に公益財団法人に移行しました。主な活動は、顕彰事業である「信毎賞」と「信毎選賞」。加えて、金婚式を迎えた夫婦に結婚当時の信濃毎日新聞一面を「記念日新聞」として贈呈する「金婚式おめでとう」事業や助成事業、信毎本社のロビーを会場にイベント開催なども行っています。

  • 写真:信毎文化事業財団細川宗英さん作の信毎賞の正賞ブロンズ像「耀(かがや)く」
  • 写真:信毎文化事業財団高橋貞夫さん作の信毎選賞の正賞メダル「大地樹生(だいちじゅせい)」

信毎賞とは?

「信毎賞」は、信濃毎日新聞が創刊120年を迎えた翌年の1994(平成6)年に創設。学術、芸術、医療、スポーツ、社会活動など幅広い分野で顕著な業績を挙げた長野県関係の個人や団体を顕彰しています。日本画家の東山魁夷さん(第1回)、指揮者の小澤征爾さん(第4回)、東南海地震体験者の会(第9回)、芸術家の草間彌生さん(第11回)、建築家の伊東豊雄さん(第14回)、日本電産サンキョー・スケート部(第17回)、上伊那郷土研究会(第20回)、宇宙飛行士の油井亀美也さん(第23回)、鳥類学者の中村浩志さん(第26回)、ノルディックスキー複合の渡部暁斗さん(第29回)など、これまでに個人延べ75人、29団体に贈呈。信毎文化事業財団は、運営一般を担っています。

毎年、候補の募集は1月上旬に始め、3月末に締め切ります。2023(令和5)年度は、県内各地から個人13件、団体7件の推薦があり、前年度までの推薦分からも候補を加え、合わせて37件を審査の対象としました。社会活動、文化・芸術、学術、スポーツと幅広い分野の候補が寄せられたとのこと。そこから5月に審査委員会を開いて信毎賞の候補を絞り、6月1日に行われた表彰委員会で、全員一致で承認されました。

宮崎さん
「自薦他薦を問わず公募しています。ジャンルも限定していないので、かなり幅広いですね。私たちは事務局として募集を締め切った後、審査委員会までの間に、審査委員の皆さんの参考になるような資料をそろえています。過去に信毎で取り上げたことがある候補者、団体がほとんどなので、インターネットで検索もしますが、信毎のデータから探すことが多いですね」

写真:信毎文化事業財団信濃毎日新聞創刊記念日の7月5日に開かれる信毎賞贈呈式

節目となる30回は、記念特別賞をアニメーション監督の新海誠さんに、信毎賞を鳥類学者で山階(やましな)鳥類研究所元所長の山岸哲さん、伊那食品工業最高顧問の塚越寛さん、NPO法人松代大本営平和祈念館に贈呈しました。

宮崎さん
「学術研究や会社の経営、平和活動など、分野は多岐にわたりますが、地道にずっと取り組んでこられたことを評価しています。毎回、人数や個人と団体の割合が決まっているわけではなく、その時々で審査委員会で判断しています」

信毎選賞とは?

1996(平成8)年に創設された「信毎選賞」は、芸術、スポーツなどを通じて文化や社会に貢献した関係者を対象に、なお一層の活躍を期待して顕彰しています。伊那北高校将棋部(第1回)、諏訪国蝶オオムラサキの会(第6回)、映画監督の山崎貴さん(第12回)、バドミントン選手の奥原希望さん(第22回)、シェフの小林圭さん(第25回)、ジム・ネット体操教室(第27回)など、これまでに個人52人、38団体に贈呈。こちらは公募ではなく、記者の皆さんが取材活動を通じて、「これは!」と思った人や団体を推薦する形を取っています。

写真:信毎文化事業財団信毎選賞の贈呈式。受賞者の活動を映像でも紹介している

今回は地質年代「チバニアン」の誕生に貢献した国立極地研究所准教授の菅沼悠介さん、ダンサーのアオイヤマダさん、諏訪圏フィルムコミッション、長野アーティスティックスイミングクラブの2氏2団体を選出しました。

宮崎さん
「日頃の取材で、これからもっと活躍していくだろうという将来性を感じる方を挙げてもらっています。事務局でも情報収集して、これからが楽しみな方を推薦することもあります。
信毎賞がスタートした3年後には信毎選賞ができています。比較的すぐに立ち上げたということは、“これまで”だけではなく、”これから”にも着目して、皆さんに広く知ってもらいたいと考えたのではないでしょうか」

県民のさまざまなニーズに応じたい

結婚50年を迎える夫婦に、結婚当時の信濃毎日新聞の第一面をお渡しする「金婚式おめでとう」事業というユニークな取り組みも財団設立当初から続けています。例年、年明けから6月末まで申し込みを受け付けて、9月の敬老の日前後の紙面特集で夫婦の名前を掲載し、記念日新聞を贈呈しています。

  • 写真:信毎文化事業財団プレゼントする50年前の紙面
  • 写真:信毎文化事業財団「金婚式おめでとう」事業のチラシ

宮崎さん
「紙面を見て、『来年、私たちも結婚して50年になる』と申し込んでくれる方もいます。お名前を載せるので、本人の確認が必要なんですが、その上でお子さんが申し込んでくれることも増えてきていますね」

料金は無料ですが、申込書に記入して、郵送または本社・支社局、信毎販売店などに持参する必要があります。毎年800~1000件ほどの申し込みがあり、昨年は891件。1組1組の結婚記念日を確認し、データベースから紙面を印刷して、ラミネートするのは手間がかかりますが、「受け付けは紙のみでアナログなんですが、これだけ多くの方々が申し込んでくれる。新聞を切り抜いたり、折り込みの申込書を見たりして、記入し、持参してくださるんだと思うとちょっとしみじみします」とは担当の町田茉由さん。

助成事業では、県内の芸術やスポーツ、中高生の文化・スポーツ活動を応援するために、助成金の交付を行っています。2019(令和元)年度には、1年だけ10万円を助成する「単年度枠」を新設。2023(令和5)年度からは、1年目に10万円、2年目に5万円を支給する「特別枠」に充実させました。対象は毎年2団体前後で、こちらも信毎の取材網を通じて、県内で積極的に活動を続けている団体の候補を挙げてもらい、財団で審査をしています。単年度枠には、特集にも登場した木曽ペインティングスや、上田市で障がい者施設を営むNPO法人リベルテなども対象になりました。

宮崎さん
「なるべくいろいろな地域の、いろいろな団体の活動を支援したいと思っています。『単年度枠』を新設した直後にコロナ禍となり、日々、皆で集まることができなかったり、大会が中止になったりと思ったように活動ができない期間が続きました。ようやく昨年、今年度と活動が再開されるようになりましたが、コロナの経験を生かして、どうやって地域の皆さんの活動を後押ししていけばいいのか、これからもじっくり考えて取り組んでいければと思っています」

2015(平成27)年には、本社1階のロビーを活用して、ロビーコンサートを始めました。出演料、入場料を共に無料にして、演じる人と見る人の交流の場と位置付けています。開催は不定期ですが、コロナ禍の中止期間を経て、昨年7月には30回を迎えました。

  • 写真:信毎文化事業財団コロナ禍を経て、4年ぶりに再開した第30回信毎ロビーコンサート(2023年7月)
  • 写真:信毎文化事業財団ロビーで準備する出演者。第31回はクリスマスコンサートに(2023年12月)

宮崎さん
「市民の皆さんにとっては音楽を楽しむ場、演奏家の方々にとっては表現の場として開催しています。演奏が終わってから、楽器の説明をしてくださる方もいて、交流の機会にもなっていますね。だいたい18時半ごろから始めるので、ちょうど日が暮れて、辺りが暗くなる時間帯。1階がガラス張りということもあって、雰囲気もなかなかいいですよ」

もともと記者だったという宮崎さん。同財団での仕事は5年目だと言います。

宮崎さん
「下調べする、ということは取材と変わらないですし、実際にお会いすることもあるので、やっていること自体はあまり変わらないかもしれません。信毎は、県内全ての市町村に対して担当記者がいて、隅から隅まで、かなりの部分をカバーしていることが一つの大きな特徴だと思います。長野県は広く、地域の特色も豊か。ほかの地域の人が全然知らないといったこともたくさんあるので、そういう部分を掘り起こして、より多くの方に伝える活動を続けていきたいです」

県土が広く、市町村の数も多い長野県。何か情報を集めるといっても、一から収集するとなると大変な時間と労力を要します。県内各地を網羅する信毎の情報ネットワークを最大限活用して、いつ、どこで、どんな人たちが活躍しているのかを掘り起こせることが、信毎文化事業財団の大きな強みと言えるのかもしれません。これからも、県ゆかりの人々や取り組みに新たな光を当て続け、その存在価値をさらに高めてくれることでしょう。

取材・文:山口敦子(タナカラ)

公益財団法人信毎文化事業財団
1995(平成7)年4月設立。
事務局は信濃毎日新聞社長野本社内にある。
冒頭の写真は長野本社2階の展示コーナーで撮影。

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